今回は、イギリスの思想家であったジェームズ・アレンの『「原因」と「結果」の法則』 を紹介します。
著者は本書のなかで、「心の中の思いが、私たちを創っている」と語りかけてきます。
私たちは、自分の思いによって創り上げられている。
ジェームズ・アレンはいいます。
「心の中の思いが、私たちを創っている。私たちは、自分の思いによって創り上げられている。私たちを取り巻く環境は、真の私たち自身を映し出す鏡にほかならない」
ジェームズ・アレンのいう「思い」というのは、単なる希望や期待ではなく、魂の底からわき出るような意思のことなのだと思います。
そして、その意思は周囲の人やモノに影響を与えていき、周りの環境に現れてくる、ということなのでしょう。
もし、いま、自分の思いが環境に現れていないと感じているのであれば、一度、その思い自体を見つめ直してみるか、環境に現れている現実の意味を検証してみてはいかがでしょうか。
意味は状況によって決定されるのではない。
心理学者のアルフレッド・アドラーは次のようにいっています。
「意味は状況によって決定されるのではない。われわれが状況に与える意味によって自ら決定するのである」
ひとつの出来事でも、その見え方や解釈の仕方は人それぞれです。
「こうあるべき」という概念を手放し、この出来事にどのような意味があるのかという観点からみれば、人生とはことのほか自分の思い通りになっている感覚を持てるのではないでしょうか。
苦悩は、つねに、何らかの誤った思いの結果である。
ジェームズ・アレンはいいます。
「苦悩は、つねに、何らかの誤った思いの結果です。もし私たちがいま、苦悩を手にしているとしたら、それは、私たちがいま、自分を存在させている法則に
刃向かって生きていることを示す、明らかなサインです」
ジェームズ・アレンのいう「苦悩を手にして」と「自分を存在させている法則に刃向かって」ということにおいて、それは、いわゆる「“カベ”に突き当たっている」ことなのだと思います。
もっと大きな「全体のいのち」が存在している
また、アルフレッド・アドラーは次のようにいっています。
「ライフスタイル※1と社会適応の齟齬(そご)が起きるのは、共同体感覚※2を使わずに私的論理を用いるからである」
※1.「ライフスタイル」とは、人の習慣的態度やその人独自の信念体系のこと
※2.「共同体感覚」とは、他者や社会、共同体などにとって有益な考え方(その反対の考え方を「私的論理」といい、自分だけに有益な考え方)のこと
苦悩がつきないのは、自分の共同体(他者、社会、会社、コミュニティなど)への働きかけと、自分のライフスタイル(性質・価値観)に齟齬(そご・ズレのこと)が起きているからなのですね。
この苦悩を払しょくするためには、私的論理を優先させたライフスタイルから、共同体感覚に基づいたライフスタイルへと、変える必要があるということなのです。
まとめ
ジェームズ・アレンが「自分を存在させている法則」と言っているものは、自分のパーソナリティに紐づいた、ミッション(使命)・バリュー(価値観)・ビジョン(目標・ありたい姿)の3つ〔=つまりは“あり方・軸”〕のことです。
ビジネスは、所詮、人生における手段のひとつにすぎません。まずは、人生において、それらを明らかにし、意識していくことが大切であるということですね。
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