アドラー心理学における「しあわせ」のための重要な技法「ライフスタイル」とは、「パーソナリティ」のことである

今回のテーマは、アドラー心理学における「しあわせ」のための重要な技法、「ライフスタイル」にスポットライトを当ててお伝えします。
そもそも、「ライフスタイル」とは「パーソナリティ」のことなのですが、なぜ、アドラーは「しあわせ」を考える上で「ライフスタイル(パーソナリティ)」の技法を中心に位置づけたのでしょうか。その疑問についてアドラーの思想の全体像から分かりやすく解説します。

これからお伝えすることは、中高年個人起業家の方にとって、非常に有益なメッセージですので、最後までお読みいただきたいと思います。

人は誰もが必ず「劣等感」を抱くもの。「不完全な自分」を認めることが大切

それでは、アドラーの思想の解説をはじめます。
まず、私たちは誰もがみな、無力のままの状態でこの世に生まれてきます。このことに疑いの余地はありません。無力である私たちは、誰かに保護をしてもらいながら、少しずつ成長して、能力を高めていきます。しかし、いつまでたっても、どんなにがんばっても、どれだけ成長しても、「完全な自分」には成ることができません。だからこそ、そこで、必ず「劣等感」を抱かざるを得ないわけです。

アドラーは、「劣等感」はすべての人が抱く感情であり、それは努力と成長のためのバネとして働くものなのだと考えていました。なので、私たちは、いつまでたっても「不完全な自分」であることを認めつつ、それでも切磋琢磨しながら成長していく自分に意識を向けることが大切になるのです。そのことを【自己認識】といいます。

人が個性として持っている「ライフスタイル」とは、「パーソナリティ」のこと

そして、私たちは、成長していく過程のなかで、自分は何が得意で何が不得意なのか、自分は何が好きで何がイヤなのか、ということをいろいろな体験を通じて学んでいきます。私たちは、そうした体験のなかから、自分が「これで生きていこう」とする方向性を潜在意識で(無意識のうちに)決めていきます。これこそが、それぞれ個人が個性として持っている「ライフスタイル」(=「パーソナリティ」)なのです。

では、なぜ、アドラーは「パーソナリティ」という言葉を使わずに、「ライフスタイル」と言ったのでしょうか。それは、アドラーがそれを提唱した時代(1870~1937年)には、まだ「パーソナリティ」という言葉がなかったからなのですね。

人は自分の「ライフスタイル」を使って、所属している共同体に「居場所」をつくろうとする

そして、私たちは、それぞれ自分の「ライフスタイル」(=「パーソナリティ」)を使って、自分が所属している共同体のなかに「居場所」をつくろうとします。
共同体とは、例えば、家族や友人のグループ、職場で一緒に働く人たち、同じ趣味のサークルなど、共通の目的を持った人々の集まりのことです。また、学校や会社、町内会や日本国民などといった概念もそうですし、さらに、地球上にある大きな共同体には「人類」があります。

私たちは、こうした共同体のなかに自分の「居場所」をつくろうとします。人は、自分の「居場所」がなければ生きていけません。
それは、自分の生活を立てていくという経済的な面からも、また生きている意味を見い出すという心理的な面からも必要なことなのです。そのことを【所属感】といいます。

「共同体感覚」を持つことによって、はじめて自分の生きている意味がわかる

そして、私たちは、その共同体のなかで自分の所属の役割を果たし、所属感を得ながら、「共同体感覚」というものを育てていきます。
「共同体感覚」というのは、ありのままの自分を受容して、その個性と強みを活かし、所属の役割を果たしたうえで、仲間を信頼し、協力し合って、共同体に貢献しようとすることです。このことを順に【自己受容】、【他者信頼】、【他者貢献】といい、アドラー心理学のベースとなる概念、「共同体感覚」の三要素といわれているものになります。

つまり、私たちは、「共同体感覚」を持つことによって、はじめて自分の生きている意味がわかる、ということになっているのです。

仲間と協力し合って生きていこうと決心することが、「人生の意味」を与えてくれる

私たちは、共同体のなかに自分を活かすことのできる居場所があって、仲間と協力し合って生きていこうと決心することで、「人生の意味」を見いだすことができます。したがって、「しあわせ」に生きていきたいと思うのであれば、共同体感覚を、自分が所属している共同体で育てていかねばなりません。
その結果として、私たちは「しあわせ」に生きることができるのです。そのことを【なしあわせ(為し合わせ)】といいます。

まとめ

私たちは、それぞれ自分の「ライフスタイル」(=「パーソナリティ」)を使って、自分が所属している共同体のなかに「居場所」をつくろうとする、ということをお伝えしました。
それは、自分が生きていく方向性として「ライフスタイル」(=「パーソナリティ」)を使うということです。であるならば、その時に使うライフスタイルを、嘘や偽りのない、本質的な(生まれ持った)パーソナリティを活かした方がいいに決まっています。なぜなら、本質的なパーソナリティこそ、「しあわせ」に生きるために必要な「共同体感覚」とひも付いているのですから。

アルフレッド・アドラーは次のようにいっています。
「人は共同体感覚を持てたときにしあわせである。共同体感覚は生まれつき誰にも備わっているものである」

アドラー心理学は、私にとって、挫折したサラリーマン時代に救いの手を差し伸べてくれた思想です。
(詳しくは、拙書『鳴かず飛ばずの中高年サラリーマンが、アドラーの「人生の意味の心理学」を通勤電車で読んだら・・・-いまから人生を大逆転させる、“アドラー流”令和時代の生き方・働き方-』をお読みいただければと思います)

売れる個性の専門家/幸せな個人起業家コンサルタント 松﨑豊

売れる個性の専門家/幸せな個人起業家コンサルタント 松﨑豊

「自分らしさ」を求めて50代半ばで脱サラして起業も、「こんなはずじゃなかったのに…」となる。そのときに、そのときから、「本当はどうしたいのだろう?」「何のため、誰のためなのだろう?」と、自分で出した問いに自分で考えて答えるということを何度も繰り返す。そして、ビジネスは自分のパーソナリティ(個性・経験)に結びつていないと続けられないものなのだと氣づく。そのようにして、自分に問いを立て自分で深く考えること(自問自考)で引き出した、自分の「個性と経験」を活かしていったところビジネスが回りだす。現在は、その経験を「個人講座」として体系化し、中高年個人起業家の「幸せな成功」に伴走している
パーソナリティビジネス成幸研究所 代表  松﨑行政書士事務所 代表

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