今回のテーマは、中高年個人起業家が知っておきたい、アドラー心理学における「しあわせ」のための重要な大切な「5つの理論」と「パーソナリティ」についてお伝えします。
そもそも、アドラー心理学はその構成として、土台に「共同体感覚」という“哲学”を置いています。「共同体感覚」とは、簡単に言うと、共同体のなかで自分の所属の役割を果たし、所属感を得ることです。※詳しくは関連ブログ<アドラー心理学における「しあわせ」のための重要な技法「ライフスタイル」とは、「パーソナリティ」のこと>をご参照ください。
その共同体感覚を土台として展開している5つの理論を、「パーソナリティ(アドラー心理学でいうところのライフスタイル)」と関連づけながら解説していきます。
①主体論(自己創造性)で自分を変える!
主体論(自己創造性)とは、何か。それは、次のような考え方です。
「置かれた環境をどう捉え、どう対応するのか。それを決めるのは、誰でもない自分自身である」
また、この考え方と反対の考え方を「(運命)決定論」といいます。
アドラー心理学では、「誰もが自分の人生の主人公であり、主体的、建設的に行動している人は幸福度が高い」としています。
そして、アドラーは次のようにいっています。
「われわれは自分で自分の人生を創っていかねばならない。それは、われわれ自身の課題なのであり、われわれはそれに取り組むことができる。われわれは自分自身の行動の主人なのだ」
人は、たいていの場合、自分で決める程度に応じて、しあわせなれるのでしょうね。
②目的論で未来志向になる!
目的論とは、何か。それは、次のような考え方です。
「“なぜ”と過去の原因を探るのは解説にしかならない。“何のために”と未来の目的を探って解決するのである」
また、この考え方と反対の考え方を「原因論」といいます。
アドラー心理学では、「どこから来たのかではなく、どこに向かうのかが重要である」としています。
そして、アドラーは次のようにいっています。
「もし、この世で何かをつくるときに必要な、建材、権限、設備、そして人手があったとしても、目的、すなわち心に目標がないならば、それらに価値はない」
人は、こころの姿勢を変えることによって、自分の人生を変えることができるようになるのですね。
③全体論で自分と人生を見る!
全体論とは、何か。それは、次のような考え方です。
「“わかっちゃいるけれどやめられない”はやめたくないだけ。体と心、理性と感情、意識と無意識は分けられないのである」
また、この考え方と反対の考え方を「要素還元論」といいます。※要素還元論とは、意識と無意識を分ける考え方です
アドラー心理学では、「人間の中には本来、対立や矛盾は存在しない。人間は要素に分割できない存在である」としています。
そして、アドラーは次のようにいっています。
「意識と無意識は同じ方向へと一緒に進んでいくのであり、しばしば信じられているように矛盾するものではない。そのうえ、意識と無意識を区別するはっきりとした境界線はない」
人のこころとからだは表裏一体です。どちらかが悪ければ、もう一方も悪くなるものなのです。
④認知論(仮想論)でものごとを捉える!
認知論(仮想論)とは、何か。それは、次のような考え方です。
「自分独自の“心のメガネ”を通してでしか、人は世界を見ることができないのである」
また、この考え方と反対の考え方を「客観主義」といいます。
アドラー心理学では、「人間一人ひとりの価値観、ものの見方、考え方はそれぞれ違うのである」としています。
そして、アドラーは次のようにいっています。
「人間は意味の領域を生きている。われわれはいつも自分にとって意味があるものだけを経験するのである。われわれは現実を常に自分がそれに与える意味を通して経験するのである」
人は、自分(の思い込み)という「メガネ」を通して世界を見ているのなら、いつもその「メガネ」を磨いておきたいものですね。
⑤対人関係論(社会統合論)で自分の行動を考える!
対人関係論(社会統合論)とは、何か。それは、次のような考え方です。
「人のあらゆる行動は、その時発生している“特定の誰か”の課題や問題を解決するために行われているのである」
また、この考え方と反対の考え方を「精神内界論」といいます。※精神内界論とは、人が行動するのは過去のコンプレックスにあるという考え方です
アドラー心理学では、「人間の行動、感情にはすべて相手がいる。人との関係性によって、取る行動、抱く感情は違ってくるのである」としています。
そして、アドラーは次のようにいっています。
「つまるところ、われわれには対人関係以外の問題はないように見える。そして、これらの問題はわれわれが他者に関心を持っているときにだけ、解決できるのである」
人は、いつまでたっても「不完全な自分」のままです(アドラー心理学)。であるなら、人はお互いの愚かさを許すことが、人生のルールなのでは。
※「不完全な自分」については、関連ブログ<アドラー心理学における「しあわせ」のための重要な技法「ライフスタイル」とは、「パーソナリティ」のこと>をご参照ください。
まとめ 5つの理論は古いライフスタイル(=パーソナリティ)の転換を迫るもの
アドラーの思想に、次のようなものがあります。
「人は、自分の人生の“主人公”であるから、自分の人生を見つめ直して、何度でも新しい人生をはじめていいのである」
“主人公”という言葉は、そもそも禅語からきています。禅宗では、“主人公”とは「本来の自分」のことを意味します。それは、禅師が修行しているときに、自分のことを「おーい、主人公。」と呼びかけ、「自分は本来の姿で生きているかのかどうか」を、自身に問いかけていたことが語源となっているのです。
「パーソナリティビジネス成幸レシピ共創プログラム」では、「受講者の課題」を受講者自身にも考えていただきます。
なぜ受講者自身にも考えてもらうのかというと、第一には受講者が自分自身の人生の主人公として生きるためですし、第二には受講者の課題に関する答えは自身が持っているからです。
ですから、プログラムでは、次のようなことも確認していきます。
・本当はどうしたいのか?(目的)
・まずは何を目指すか?(目標)
・今はどんな状態なのか?(現状)
・何が使えるか? 誰と協力できるか?(リソース)
・何ができそうか?(オプション)
・何からはじめるか?(行動)
・行動したら何が起こるか?(影響)
プログラムは、受講者と当方の2人でつくるものなのです。
アルフレッド・アドラーは次のようにいっています。
「人間は、個人としては弱く限界があるので、ひとりでは自分の目標を達成することができないのである」
アドラー心理学は、私にとって、挫折したサラリーマン時代を救ってくれた思想です。
(詳しくは、拙書『鳴かず飛ばずの中高年サラリーマンが、アドラーの「人生の意味の心理学」を通勤電車で読んだら・・・-いまから人生を大逆転させる、“アドラー流”令和時代の生き方・働き方-』をお読みいただければと思います)
コメント
COMMENT