『「なぜ」と聞かない質問術』(中田豊一)~note主催の読書感想コンテスト「#読書の秋2025」にエントリー~

今回、私が「#読書の秋2025」投稿コンテストの感想図書に選んだのは、『「なぜ」と聞かない質問術』(著者:中田豊一)です。
個人起業家向けのコンサルティングを生業とする私にとって、「なぜ」という質問は、相手の動機や課題の根源を探るために多用してきた常套句でした。
しかし、このタイトルを目にした時、40年間「良い質問」を磨き続けた対話のプロが辿り着いた境地に、コンサル歴6年の自分が果たして共感できるのか、という挑戦的な興味が湧いたのです。

この感想文は、特に仕事において、質問をよく使うとされている、コーチ、コンサル、カウンセラー、セラピスト、講師、士業の方などに向けて書きました。
ご興味がありましたら、ぜひ、noteの記事(感想文)をお読みいただきたいと思います。
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よろしくお願いいたします。
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以下に記事(感想文)の一部抜粋版を掲載します。

■「なぜ」が機能しない現代のコミュニケーション

・人は自分で得た答えしか行動に移せない
私が質問の本質と考えるのは、質問する側もされる側も「気づき」を得ることです。
なぜなら、人は自分で得た気づきでないと、本気の行動には移せないから。

「人にものを教えることはできない。 自ら気づく手助けができるだけだ」 — ガリレオ・ガリレイ―

この言葉は、私の肝に銘じている哲学です。
なので、著者が「当事者の気づきこそが、行動変化のための大きなエネルギーとなる」と述べていることに大きくうなずいたのでした。
相手の抱える「間違い」や「思い込み」といった「会話のねじれ」を排除し、行動のエネルギーを生み出す手助けこそが、質問の役割なのです。
著者は、シンプルな言葉で次のように表現しています。
「考えさせるな、思い出させろ」

・「なぜ」はなぜ、相手にプレッシャーを与えるのか

著者は、「なぜ」と聞くことが相手に「思い込みを引き出し」「言い訳を強要し」てしまうと指摘します。
また、質問者と回答者が「対等でない」関係性の場合、「なぜ」質問はさらに危険な質問として機能する恐れがあるともいっています。

「なぜ」という質問は、即答を求められる場面で特に、強いプレッシャーとなり得ると思っています。
私自身、会社員時代に上司から「なぜ?」と問われ、沈黙している間に「無視しているのか!」と叱責された経験があります。
(ちなみに私は典型的な内向型で、すぐに答えられないタイプ)

「なぜ?」は、考える時間を与えず、反射的な答えや弁解を引き出し、真の気づきを遠ざけてしまいます。

■「いつ」「どこ」「誰」「何」が作る対等な土壌

・「事実質問」が解消する「会話のねじれ」

「なぜ」質問が、多くの場合に答えを真実から遠ざけるのなら、代わりの術が必要になります。
それが、本書の提示する「いつ」「どこ」「誰」「何」といった事実を問う質問術です。

これらの質問は、質問者と回答者が同じ「情景」を観ている状態、すなわち、客観的な事実を共有する土壌を作り出します。
この土壌作りこそが「会話のねじれ」を解消し、真の共感を育む上での第一歩となるのです。

 ・即答社会の弊害がもたらす「認知的不協和」

私たちが無意識のうちに「即答」を求めてしまうのは、「早く答えを見つけた人が是」とされたこれまでの社会の影響かもしれません。
しかし、その場で即答を強いる質問は、相手に「うまくその場を取り繕う」ために、無理やり答えを創り出させる「認知的不協和」を引き起こしてしまいます。

この、自分で出した答えなのに本当の答えではない状態こそが、
「お客様を信頼しても、お客様からの答えを信用してはいけない」
という言葉の背景にあるです。

質問を「投げつける」のではなく、相手の目の前に「置いてあげる」「持たせてあげる」という姿勢こそが、「対等」な関係と「対話」を築く前提条件となるのだと、私は思っています。

■最良の質問術は「信じて待つ」こと

 ・課題解決を外部に委ねない「待つ」という心構え

本書の素晴らしさは、テクニック論に留まらず、その根源に「信頼関係」を築くという哲学があることです。
そして、その核心は「信じて待つ」ことにあります。
大原則は、「問題・課題はこちらが解決するものではない」「当事者がそれを行うよう促し、行えるように支援するもの」ということ。
解決は外部の人間がするのではなく、質問者にできるのは、事実を示すことで相手の「思い込み」を取り去り、「内的対話」を促すことまで。

「待つ心」とは、我慢や忍耐ではない。それは、相手が自分で納得のいく答えを見つける力、未来に対する信頼の表れだと、私は考えています。
急ぐ人は、目の前の相手が解決できることを心の底から信じていないから待てないのです。
本当に変わるためには、相手の内側に何かが「芽生えるのを待つ」時間が必要なのです。

・「対話」を成立させる前提条件

そもそも、人は誰が質問するかによって、答えや答え方が違ってきます。
質問がうまく機能しなかったならば、それは100%質問する側に原因があるというのが私の持論。
人が心を開くかどうかは、回答者に「この質問者の言うことを受け止めようと気持ちがあるか」という大前提にかかっています。
だから、行動をマネジメントする前に、相手の気持ち(感情)をマネジメントしてあげることが重要なのです。

質問者が、「相手に対してニュートラルでいられているだろうか」と問いかけ、「対等」な関係ができたところに初めて共感が生まれる。
そして、その調和は、「待つ」という沈黙の中から自然と生まれてくるのです。
相手が、自ら答えを見つけ出すと信じられるかどうか。
それこそが、質問術の真価だと私は思っています。

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中高年お役立ち地位づくりの専門家 松﨑豊

中高年お役立ち地位づくりの専門家 松﨑豊

内向型の中高年起業家専門コンサルタント/しつもんファシリテーター。
「こんなはずじゃなかったのに…」と起業苦戦中の内向型の中高年個人起業家に向けた、ビジネスコンサルティングを提供。
大学卒業後、大手機械メーカーで販売戦略や品質管理に従事。40代でキャリアに挫折し、「人生の目的」を探す中で、自己啓発・心理学・脳科学の世界に傾倒。その後50代で独立するも、「成功法則」を真似ても成果は出ず、「自分らしくない努力」に疲弊。いくつものビジネス講座を受講するもピンとこず、「もう、どうすりゃいいのよ…」といった状態になる。
会社員としても、起業しても、内向型の特徴をうまく活かせず、挫折を繰り返す人生に。
しかし、やがて、「うまくいってる人は、成功法則をパーソナライズして行動をしている」ことに氣づく。そこから、これまでの学びと体験をすべて体系化し、 “自問自考”を軸とした、内向型の特徴を「強み」に転換する「パーソナライズ・メソッド」を構築。現在は、ひとりでも多くの内向型の中高年個人起業家に活躍してほしいという想いを胸に、お役立ちの地位づくり、「オンリーコンサルタント」のポジションづくりに、「1,000日伴走」する『中高年版ヒーローズ・ジャーニー』と銘打ったコンサルティングを展開中。

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