なぜあなたは「英雄の旅に出られない!」のか?/隠れ内向型中高年の「ヒーローズ・ジャーニー(英雄の旅)」③

「それでも、旅に出られない!」あなたを引き止めているものは何ですか?
〜隠れ内向型の中高年が歩む「ヒーローズ・ジャーニー」③〜

前回の記事では、「あなたが起業したいと思った、その氣持ちはどこから来たのだろう?」ということについて考えてみました。

「会社を辞めたい」「定年後も何かをしたい」
「自分の経験を誰かの役に立てたい」
「このまま人生を終わらせたくない」
「自分の人生を自分で決めたい」

そんな思いの奥には、「もっと自分らしく生きたい」という、心の奥からの呼び声があったのでしょう。

ヒーローズ・ジャーニーでは、これを「冒険への召命」と考えます。
主人公は、いつもの世界から旅立つよう促されるのです。

ところが!!
ここで、すぐに旅立てる人ばかりではありません。

むしろ多くの場合、「いや、そんなことは無理だ」と立ち止まってしまいます。
これが「冒険への拒否」です。

そして、私はここに、中高年の隠れ内向型が抱えやすい、二重の壁があるのではないかと思っています。

一つは、「今さら、そんなことを始めても……」という壁。

もう一つは、「起業するなら、もっと外向的にならなければ……」という壁です。

私自身をはじめ、これまで中高年の方々に関わってきたからこそ、言うことが出来るテーマでもあります。💦💦
今日は、この二つの壁について考えてみたいと思います。

1.「今さら、何ができる?」

中高年になってから起業を考えると、まず頭に浮かぶのが、この言葉ではないでしょうか。
「今さら、そんなことを始めても遅いんじゃないか?」

20代なら、失敗してもやり直せる。30代なら、まだ時間がある。40代でも、何とかなる。
でも、50代、60代になってくると、「もう若くない」
という現実が、急に重く感じられることがあります。

「新しいことを覚えるのが大変だ」「若い人にはかなわない」
「SNSなんて、今さら無理だ」「失敗したら、取り返しがつかない」
「家族に迷惑をかけるかもしれない」
そんな思いが出てきます。

そして、心の中で、「やってみたい」という声が、「でも、無理だろう」という声に押し戻されてしまうのです。

2.でも、50代・60代だからこそ持っているものがある

ここで、一度だけ視点を変えてみましょう。

確かに、若い人と比べれば、体力ではかなわないかもしれません。
新しいテクノロジーへの適応では、若い人の方が早いかもしれません。
SNSでの発信力も、若い世代の方が高いかもしれません。

でも、私たち中高年には、若い人には簡単には持てないものがあります。

それは、「経験」です。

20年、30年、40年という時間を生きてきた。
仕事をしてきた。失敗もした。成功もした。
人に裏切られたこともあった。誰かに助けられたこともあった。
部下を育てたこともある。顧客と向き合ったこともある。
組織の中で、何度も問題を解決してきた。自分なりに、人生を生き抜いてきた。

これらは、履歴書の「職歴」だけでは表現できないものです。
そう、あなたの中に蓄積された、目に見えない「資産」なのです。

3.「若さ」と「経験」は別の武器

若い起業家には、若さがあります。
行動力があります。
失敗しても立ち上がれる時間があります。
新しいものを吸収する柔軟性もあります。

それは素晴らしいことです。

でも、中高年には、「何がうまくいかないのかを知っている」という力があります。

人間関係の難しさを知っている。顧客が何を求めるかを知っている。
組織がどう動くのかを知っている。人がどんなことで悩むのかを知っている。
仕事が、理屈どおりにはいかないことも知っている。

そして何より、「自分自身が、どういうときに無理をしてしまうのか」も、少しずつ分かってきています。

これは、若い頃にはなかった財産ではなのです。

4.それでも私たちは「若い人のやり方」を真似しようとする

ところが、ここで「隠れ内向型」の問題が重なります。

中高年になって起業すると、
「SNSを毎日発信しましょう」
「交流会に参加しましょう」
「人脈を広げましょう」
「自分をどんどん売り込みましょう」
「動画で顔を出して発信しましょう」
そんな起業ノウハウが目から耳から入ってきます。

そして、「そうか、起業するなら、こうしなければならないんだ」と思ってしまう。

でも、ちょっと待ってください。
それは、あなたに本当に合った方法なのでしょうか?

5.「起業家は社交的でなければならない」という神話

ここで、もう一つの「冒険への拒否」が始まります。

隠れ内向型の人は、自分を内向型だと認識していません。
だから、「人と会うのが疲れる」「大人数の場が苦手」「一人で考える時間が必要」
という自分の性質を、「自分の能力不足」だと解釈してしまいがちです。

「もっと話が上手くならなければ」「もっと人脈を作らなければ」
「もっと社交的にならなければ」「もっと自分をアピールできるようにならなければ」

そうやって、「自分を変えること」を起業の前提にしてしまう。

でも、それは本当に必要なのでしょうか?

ここは、隠れ内向型を理解する上で、とても大切なポイントだと思います。

例えば、あなたは人前で話せるかもしれません。
営業もできるかもしれません。
初対面の人とも、それなりに会話できるかもしれません。
交流会にも参加できるかもしれません。

だから、「自分は内向型ではない」と思っている。

でも、「できること」と「エネルギーを消耗しないこと」は、別の話です。

できる。でも、ものすごく疲れる。
できる。でも、その後は一人になりたくなる。
できる。でも、それを毎日続けたいとは思わない。

そんなことはありませんか。これは、「能力がない」という話ではありません。

むしろ、「できるけれど、それは自分のエネルギーを大きく消費する行動なのかもしれない」ということです。

6.「社交的に振る舞える内向型」もいる

ここが「隠れ内向型」の面白いところです。

内向型だからといって、「人と話せない」わけではありません。
「人嫌い」でもありません。「コミュニケーション能力が低い」とも限りません。

むしろ、長年社会で働いてきた中高年なら、「社交的に振る舞う技術」を身につけている人も多いでしょう。
会社員として何十年も働いてきたのですから、それは当然です。

だから、「自分は人付き合いができるから、内向型ではない」という判断は、必ずしも正しくありません。
私自身も長年にわたって、そう思い込んでいました。💦💦

でも、重要なのは、「人付き合いができるかどうか」ではなく、
どのようにエネルギーを回復する人なのか」という視点です。

人と会うことで元気になる人もいる。一人の時間を過ごすことで元気になる人もいる。
その違いがあるだけなのです。

7.もし、あなたが「一人になると元気になる人」なら

ちょっと思い出してみてください。仕事で人とたくさん話した一日の終わり。

家に帰って、テレビを見るでもなく、誰かと話すでもなく、スマートフォンをいじるでもなく、ただ静かに過ごす。
あるいは、本を読む。音楽を聴く。文章を書く。好きなことを調べる。散歩する。何もせずにぼんやりする。

そんな時間を過ごすと、「ああ、やっぱり一人っていいな」と感じる。
もしそうなら、あなたは「人付き合いが苦手」なのではなく、「一人の時間からエネルギーを充電するタイプ」なのでしょう。

それなのに、起業すると「外向型になろう」としてしまう・・・。
ここに、中高年の隠れ内向型起業家が陥りやすい罠があります。

「起業家は、人脈が命だ」「営業しなければ売れない」
「SNSで自分を発信し続けなければならない」「交流会に行かなければならない」

確かに、そういう方法が効果的なビジネスもあります。
でも、それは「唯一の正解」ではありません。

例えば、
文章で信頼を築く。ブログやnoteで専門性を伝える。一対一の相談に乗る。
紹介を中心にする。少数のお客様と深く付き合う。長年の経験を体系化して商品にする。
専門的な情報を調査・分析して提供する。オンラインで静かに仕事を積み上げる。
こうした方法だってあります。

むしろ、内向型の人が自然な力を発揮できる場合も多くあります。

8.「外向型の成功モデル」を捨ててもいい

私は、ここで一つ提案をしたいと思います。

もしあなたが隠れ内向型なのだとしたら、「外向型の起業家の成功モデル」を、そのまま真似する必要はありません。

人脈1000人を目指さなくてもいい。
毎日、人と会わなくてもいい。毎日SNSで発信しなくてもいい。
大勢の前で話せなくてもいい。無理に自分を大きく見せなくてもいい。
「もっと積極的になれ」という言葉に、いつも従わなくてもいい。

もちろん、必要な営業はすればいい。
必要な人には会えばいい。苦手なことでも、必要なら少しずつ学べばいい。

でも、「苦手なことを全部得意にしなければ起業できない」という考え方からは、そろそろ自由になっていいのではないでしょうか。

実は、「欠点」だと思っていたものが「資質」だったりします。

例えば、「慎重すぎる」と言われてきた人。
それは、「深く考えてから決断できる」ということかもしれません。

「話すのが遅い」と言われてきた人。
それは、「相手の話をよく聞いてから、自分の言葉を選べる」ということかもしれません。

「人付き合いが狭い」と言われてきた人。
それは、「少人数の人と深い信頼関係を築ける」ということかもしれません。

「一人でいるのが好き」と言われてきた人。
それは、「一人で集中して価値を生み出せる」ということかもしれません。

「考えすぎる」と言われてきた人。
それは、「リスクや可能性を深く検討できる」ということかもしれません。

同じ性質でも、「欠点」と見るか、「資質」と見るかで、人生の意味は大きく変わります。

9.ヒーローは「別の誰か」になる必要はない

ヒーローズ・ジャーニーの物語を考えてみると、主人公は旅の途中で、「もっと別の人間にならなければ」と努力しているわけではありません。

むしろ、「自分が本当は何者なのか」を発見していきます。

これが、中高年の「第二の人生」にも重なります。

若い頃は、「自分を作る」時期だった。
社会に適応し、能力を身につけ、役割を獲得する。

しかし中高年からは、「自分を知る」時期に入っていきます。
「自分は何が得意なのか」「何をすると疲れるのか」
「何をすると時間を忘れるのか」「誰といると自然体でいられるのか」
「どんな環境なら、自分の力が発揮されるのか」

そうしたことを、一つずつ見つけていく。
実は、このことは起業にもそのまま当てはまります。

「自分を営業マンに変える」のではなく、「営業をしすぎなくても成立するビジネスモデルを考える」

「自分を社交家に変える」のではなく、「少人数の信頼関係を大切にする」

「自分をインフルエンサーに変える」のではなく、「自分の専門性を、文章やコンテンツで伝える」

「自分をリーダー型に変える」のではなく、「一人または小さなチームで価値を生み出す」

という発想です。

これは、「逃げること」ではありません。
むしろ、「自分の強みが最も自然に発揮される場所を選ぶ」という、非常に戦略的な考え方です。

10.では「冒険への拒否」とは何だったのか?

ここまで考えてくると、見えてくるものがあります。

あなたが、「起業なんて無理だ」と思っていた理由は、本当に「年齢」だけだったのでしょうか。
本当に「才能がない」からだったのでしょうか。本当に「経験がない」からだったのでしょうか。

もしかすると、「起業するなら、自分ではない誰かにならなければならない」と思っていたからではないでしょうか。

「もっと社交的に」「もっと積極的に」「もっと人脈を広げて」
「もっと自分を売り込んで」「もっと目立って」「もっと強くなって」

そうしなければ、起業家として成功できない。そう思っていた。
だから、「自分には無理だ」となった。

だとしたら、あなたを引き止めていた最大の壁は、「年齢」でも、「能力」でもなく、
自分自身に対する思い込み」だったと言えませんか。

11.あなたが越えるべき最初の境界線

ヒーローズ・ジャーニーでは、主人公はやがて、日常の世界と未知の世界を分ける「境界線」を越えていきます。

隠れ内向型の中高年にとって、その最初の境界線は、「起業すること」ではないのかもしれません。
もっと手前にあると思います。
それは、「私は、私のままでいい」と認めること。

そして、「私は、外向型の成功モデルをそのまま真似しなくてもいい」と認めることです。

この二つを認めたとき、初めて、「では、自分ならどんな働き方ができるだろう?」という問いが生まれてきます。

なお、ここで言う、「自分のままでいい」は、諦めではありません。
「自分のままでいい」というのは、「成長しなくていい」という意味ではありません。
「苦手なことは何もしなくていい」という意味でもありません。

むしろ逆です。
自分の性質を理解するからこそ、「何を伸ばし、何を人に任せ、何を仕組み化するか」を考えられるようになるということです。

例えば、人前で話すのが苦手なら、文章で伝える。
細かな事務作業が苦手なら、ツールや人の力を借りる。
人と会い続けると疲れるなら、面談の日をまとめる。
一人で集中するのが得意なら、その時間を意識的に確保する。

これは、「自分を甘やかすこと」ではなく「自分を経営すること」なのです。

12.中高年起業の本当のスタート地点

そう考えると、中高年の起業のスタート地点は、会社を辞めた日ではありませんよね。

開業届を出した日でもありません。
最初の商品を作った日でもありません。
最初のお客様を獲得した日でもありません。
もっと前です。

それは、「私は、本当はどんな人間なのだろう?」と、自分自身に問い始めた瞬間です。

そして、「もう、誰かの成功モデルをそのまま生きなくてもいい」と思えた瞬間です。

そこから、本当の旅が始まります。

13.あなたを引き止めている「声」を聴いてみる

最後に、少しだけ自分自身と向き合ってみてください。

もしあなたが、「何かを始めたい」「起業してみたい」「第二の人生を変えてみたい」と思っているのに、一歩を踏み出せないのなら。

紙に、こう書いてみてください。
私が「やってみたい」と思っていることは

そして、その下に、それをやらない理由は?と書いてみる。

「もう年だから」「失敗が怖い」「家族が心配する」
「お金がない」「自信がない」「何をしたらいいか分からない」

いろいろな答えが出てくるでしょう。
そして、その一つひとつに、「それは事実だろうか?」と問い直してみてください。

「もう年だから」
→ 年齢が問題なのか、それとも「若い人と同じ方法でやろうとしている」ことが問題なのか?

「人脈がないから」
→ 1000人の人脈が本当に必要なのか?

「自分には発信力がないから」
→ 大勢に届ける必要があるのか? それとも、必要としている10人に届けばいいのか?

「営業が苦手だから」
→ 営業そのものを変えられないか?

「自信がないから」
→ 自信がついてから始める必要があるのか?

こうして問い直していくと、「できない理由」だと思っていたものが、
「やり方を変えるヒント」に変わることがあります。

14.旅に出る前に主人公が知っておくべきこと

あなたは、外向型になる必要はありません。
若い起業家になる必要もありません。
誰かの成功モデルをコピーする必要もありません。
まして、「自分を否定してから、起業を始める」必要もありません。

これまでの人生で身につけてきたもの。
あなたの経験。あなたの知識。あなたの慎重さ。
あなたの観察力。あなたの聞く力。あなたの深く考える力。
あなたが一人の時間を大切にする性質。

そうしたものを、「自分の人生の資産」として、もう一度見直してみる。
そのことから始めてもいいのです。

そうすると、「このままでいいのか?」という問いが生まれる。
「自分で何かを始めたい」と思える。

でも、「今さら無理だ」「自分にはできない」「もっと外向的にならなければ」
と立ち止まってしまう・・・。

けれども、それは、失敗ではありません。
むしろ、旅に出る前の、自然な姿なのです。

怖くていい。迷っていい。自信がなくてもいい。
「やっぱりやめよう」と思ってもいい。

ヒーローズ・ジャーニーの主人公だって、最初から勇敢だったわけではありません。

大切なのは、自分の中にある「行ってみたい」という声を、完全には消さないことなのです。

なぜなら、その声が残っている限り、旅は、まだ始められるからです。

15.あなたの「壁」は、あなたを守ろうとしている

そして、もう一つ。

「怖い」「無理だ」「失敗したらどうする」という心の声を、「敵」だと思わないでください。

それは、これまであなたを守ってきた声でもあります。
家族を守る。生活を守る。会社での立場を守る。老後を守る。
これまで築いてきたものを守る。

だから、慎重になるのは当然なのです。その声を無理やり黙らせる必要はありません。

むしろ、「怖いよね。でも、ほんの少しだけ進んでみようか」と、その声と一緒に歩いていけばいい。
「怖くない人」になる必要はないのです。

怖さを抱えたまま、一歩進める人になればいい。

私も、今もなお、怖さを抱えたまま、一歩一歩進んでいます。💦💦

16.あなたを待っているのは「成功」ではなく「自分自身との出会い」かもしれない

ここまで読んでくださったあなたへ。

もし今、「自分も何かを始めてみたい」と思っているのなら・・・。

その気持ちを、すぐに「成功するかどうか」で判断しなくてもいいのではないでしょうか。

大切なのは、「自分は、本当はどう生きたいのか?」という問いを、もう一度持つこと。

そして、「自分のままで、どこまで行けるのだろう?」と試してみること。

その先に何があるかは、まだ分かりません。
でも、それでいいのです。
この問いや試行こそが、「成功」でなく「成幸」への道しるべなのですから。

物語の主人公だって、旅の始まりに結末を知っているわけではありません。

ただ一歩、境界線を越える。
そして、そこから物語が始まるのです。

中高年お役立ち地位づくりの専門家 松﨑豊

中高年お役立ち地位づくりの専門家 松﨑豊

内向型の中高年起業家専門コンサルタント/しつもんファシリテーター。
「こんなはずじゃなかったのに…」と起業苦戦中の内向型の中高年個人起業家に向けた、ビジネスコンサルティングを提供。
大学卒業後、大手機械メーカーで販売戦略や品質管理に従事。40代でキャリアに挫折し、「人生の目的」を探す中で、自己啓発・心理学・脳科学の世界に傾倒。その後50代で独立するも、「成功法則」を真似ても成果は出ず、「自分らしくない努力」に疲弊。いくつものビジネス講座を受講するもピンとこず、「もう、どうすりゃいいのよ…」といった状態になる。
会社員としても、起業しても、内向型の特徴をうまく活かせず、挫折を繰り返す人生に。
しかし、やがて、「うまくいってる人は、成功法則をパーソナライズして行動をしている」ことに氣づく。そこから、これまでの学びと体験をすべて体系化し、 “自問自考”を軸とした、内向型の特徴を「強み」に転換する「パーソナライズ・メソッド」を構築。現在は、ひとりでも多くの内向型の中高年個人起業家に活躍してほしいという想いを胸に、お役立ちの地位づくり、「オンリーコンサルタント」のポジションづくりに、「1,000日伴走」する『中高年版ヒーローズ・ジャーニー』と銘打ったコンサルティングを展開中。

関連記事

RELATED POST

PAGE TOP
MENU
お問合せ