〜隠れ内向型の中高年が、人生の後半を「成幸」にする〜
隠れ内向型の中高年が歩む「ヒーローズ・ジャーニー」⑧【最終回】
長い旅でした。
ここまで、7回にわたって、一人の中高年の主人公の物語を一緒に歩いてきました。
最初、主人公は、自分が「内向型」だとは、知りませんでした。
むしろ、「自分は、もっと社交的にならなければ」
「もっと積極的にならなければ」「もっと人脈を広げなければ」
そう思いながら、長い間、生きてきたのかもしれません。
ずっと「外向型の世界」で頑張ってきた。
でも、どこかで疲れていた。
そして、ある日、氣付くのです。
「もしかして・・・・・、自分は、内向型なのではないか?」
「自分がダメだった」のではなかった・・・。
「ダメな自分」ではなかった・・・。
「そういう性質の自分だった」ただ、それだけだった・・・。
ここから「旅」が始まったのです。
これが、今回のヒーローズ・ジャーニーの最初の一歩でした。
「自分は何者なのか?」という問い。
そして、そこから、主人公は自分自身の内側へ旅を始めたのです。
1.これまでの7回を振り返ってみる
少しだけ、旅を振り返ってみましょう。
第1回 「何かがおかしい」
主人公は、これまでの人生に、小さな違和感を抱えていました。
「仕事はしてきた。家族も養ってきた。それなりに頑張ってきた。でも、このままでいいのだろうか?」
そんな、言葉にならない違和感です。これが、「冒険への呼びかけ」でした。
第2回 「もしかして、自分は内向型?」
そして、自分の性質について、考え始める。
「人と会うと疲れる」「一人の時間が必要」「深く考えることが好き」「大人数より少人数が楽」「自分の世界を大切にしたい」
もしかすると、自分は、「隠れ内向型」なのかもしれない。
そんな、氣付きでした。
第3回 「これまでの人生は、無駄ではなかった」
すると、今度は、過去を振り返り始めます。
会社員として、何十年も働いてきた。失敗もした。苦労もした。人間関係にも悩んだ。
でも、そこには、たくさんの経験がありました。
そして、氣付く。「自分の人生には、誰かに渡せるものがある」と。
第4回 「経験は、誰かの価値になる」
さらに、自分の経験を別の角度から見始めます。
自分にとっては、「当たり前」だったこと。
でも、誰かにとっては、「知りたかったこと」かもしれない。
自分が乗り越えてきたことが、誰かの悩みを、解決できるかもしれない。
ここで、「経験=価値」という発想が生まれました。
第5回 「小さく一歩を踏み出す」
そして、主人公は、実際に動き始めます。
文章を書く。人に話してみる。相談に乗る。小さなサービスを作る。副業を始める。小さな仕事を試してみる。
ここで、大切だったのは、「大きく始めない」ことでした。
第6回 「自分の経験を、誰かの未来へ」
自分の経験を単なる「過去」にしない。
それを、誰かの未来のために使ってみる。
「自分が苦労したから、この人には、同じ苦労をしてほしくない」
そんな思いが仕事になる。
ここで「起業」の意味が、少し変わってきました。
第7回 「売れない。それでも、自分の価値を信じられるか?」
そして、最大の試練。
思ったように、売れない。読まれない。反応されない。認められない。
そこで、主人公は、大きな壁に、ぶつかりました。
「自分には価値がないのでは?」という壁です。

2.でも、主人公は氣付いた
「成功」のものさしは、自分で決めていいのだと。
そして、「成幸」という考え方があるのだと。
この連載では、あえて、「成功」ではなく「成幸」という言葉を使ってきました。
「成幸」とは、単に、お金を稼ぐことではありません。有名になることでもありません。
人から、「すごい」と言われることでもありません。
自分の人生を、自分の価値観で、少しずつ、「幸せな方向」へ成長させていくこと。
そして、ここでひとつの問いが浮かんでたのです。
「あなたにとって、“成幸”とは何ですか?」
あなたは、どんな人生を、「成幸」と呼びたいでしょうか?
「自由」ですか?「家族との時間」ですか?「誰かの役に立つこと」ですか?「自分らしくいられること」ですか?
そう、「全部」でもいいですね。

3.「人生の後半」はわがままになっていい
これは、少し大胆な言い方かもしれません。
でも、私は、中高年の起業では、少しくらい、「わがまま」になってもいいと思っています。
もちろん、他人を傷つけるという意味ではありません。
そうではなく、「自分の人生に、もっと自分の希望を入れていい」という意味です。
これまで、十分に「人のため」に生きてきました。
だから、これからの人生では、少しだけ、こう言ってもいい。
「私は、本当はどうしたい?」
そして、それを考えることは、わがままではないのです。
私は、中高年の起業には、特別の意味があると思っています。
それは、「自分の人生の主導権を取り戻すこと」です。
会社員の時代は「会社の物語」を生きていました。
肩書きの時代は「肩書きの物語」を生きていました。
でも、人生の後半は「自分の物語」を生きるのです。
だから、「自分の物語」を書き始める必要があります。
そして、主人公は、自分で書き始めた「自分の物語」の旅に出るのです。
旅の途中で、自分の弱さを知った。自分の強さも知った。自分の過去を受け入れた。
そして、自分にしかない、「宝」を見つけた。
その宝とは、何でしょうか?
「30年間の会社員経験」も宝です。「何度も失敗した経験」も宝です。「人間関係で苦労した経験」も宝です。
「仕事を辞めたいと思いながら、それでも続けてきた経験」も宝です。「家族を支えてきた経験」も宝です。
そして、「自分が内向型だと氣付かなかった経験」これも、宝です。
「隠れ内向型だったからこそ、分かること」がある。だから、あなたの言葉には「重み」が出るのです。
なぜなら、「経験者だからこそ、寄り添える」から。
なので、「あなたの過去」は、誰かの未来を照らすことができるのですね。
私は、これこそが、中高年の「成幸」の大きなポイントだと思っています。
そして、お伝えしてきたように、「過去」を「誰かの未来のために使う」のです。

4.「あの経験があったから今の自分がある」
そう思えるようになると、人生の見え方が変わります。
失敗だったと思っていたこと。遠回りだったと思っていたこと。無駄だったと思っていたこと。
それらは、「すべてが伏線だった」「あのときの経験がここにつながっていたのか」と思えるようになる。
そう、人生の後半は「伏線回収の時間」とも言い換えることが出来ます。
だから、遅すぎることはない・・・。
むしろ、
今だからこそ、できることがある。今だからこそ、伝えられることがある。今だからこそ、作れる仕事がある。今だからこそ、分かる人の氣持ちがある。
これまでの人生が、これからの人生につながっています。
だから、「これまでを捨てて、新しい自分になる」必要はなく、「これまでの自分を連れていく」ことでいいのです。
これが、ヒーローズ・ジャーニーの「帰還」だと思っています。
旅に出る前の自分を捨てるのではない。旅の中で得たものを持って、元の世界に戻ってくればいい。
旅に出る前は、「成功とは、人から認められること」だと思っていた・・・。
帰ってきた今は、「自分が納得できる人生を生きること」も、成功なのだと知っています。
そして、一歩進んで「成幸」を次のように定義しました。
「成幸とは、自分の人生を、自分のものさしで生きること」
自分の性質を知る。自分の経験を知る。自分の価値観を知る。自分が大切にしたい人を知る。自分ができることを知る。
そして、それらをもとに、自分の人生を自分で選んでいくことだと。

5.さらに誰かの役に立つ
さらに、そこに、もう一つ加えたい。
「自分らしく生きること」と「誰かの役に立つこと」
この二つが両立したとき、「成幸」は、より深いものになるのではないでしょうか。
自分を犠牲にして、人のためだけに生きる必要はない。
かといって、自分だけのために生きる必要もない、から。
そう、「自分も幸せ。相手も幸せ」。
自分の経験を誰かに渡す。その人が少し幸せになる。その結果として自分にも仕事や収入が生まれる。
そして、その仕事がまた誰かの役に立つ。
小さいけれど、そんな循環を作る。
「小さな循環」でいい・・・。
一人の人生を少し良い方向へ、動かせたなら、そこには、確かな価値があのだから・・・。

6.こんな質問をしてみてください
① 私は、これまで何に悩んできただろう?
② 私は、何を乗り越えてきただろう?
③ 人から、よく相談されることは何だろう?
④ 私にとっては普通でも、他人には難しいことは何だろう?
⑤ これまでの経験で、「誰かに伝えたい」と思うことは何だろう?
⑥ 私は、これからどんな一日を過ごしたいだろう?
⑦ お金以外で、「これがあれば幸せ」と思えるものは何だろう?
⑧ 私は、誰の人生を少し良くしたいだろう?
書き出したそこに、「あなたの起業の種」があります。
「自分が経験してきたこと」×「自分ができること」×「自分が大切にしたいこと」×「誰かが困っていること」
この四つが重なるところに、です。
それは、あなたにしか作れない、小さな仕事なのです。
そして、⑨番目の質問があります。
「⑨ 20年後、どんな自分でいたいですか?」
今から、5年後。10年後。20年後。
あなたは、どんな一日を、過ごしていたいでしょうか?
誰と、一緒にいるでしょうか?
どんな仕事を、しているでしょうか?
どんな人から、「ありがとう」と言われているでしょうか?
さらに、こんな質問もあります。
「自分が人生を終えるとき、何を残していたいだろう?」
財産でしょうか。会社でしょうか。作品でしょうか。
本でしょうか。知識でしょうか。
それとも、「あの人に相談してよかった」という、誰かの記憶でしょうか。
私たち中高年は、人生の後半だからこそ、「残す」という視点が生まれます。
若い頃は、「何を得るか」を考える。
でも、人生の後半になると「何を残すか」が、
大切になってくる。
あなたが、誰かにかけた、たった一言。
あなたが書いた、一つの記事。
あなたが作った、小さなサービス。
経験も、知恵も、言葉も、優しさも、失敗も、成功も、
すべて、誰かに、手渡すことができます。

7.「自分の物語」を、誰かに手渡す
これが、ヒーローズ・ジャーニーの「帰還」なのです。
主人公は、旅の中で、自分だけの「宝」を見つけました。
そして、その宝を自分だけのものにしません。
「誰かに渡す」のです。だからこそ、その旅には、意味があります。
自分が、苦しんだ経験。自分が、乗り越えた経験。
自分が、氣付いたこと。自分が、大切だと思ったこと。
それを、次の誰かへ、渡していく。
そのために、今日からできる小さな一歩があります。
まず、一人で、30分だけ、時間を取ってください。
そして、紙に、次の三つを書いてみてください。
「私は、何に悩んできたか?」「私は、何を乗り越えてきたか?」「私は、誰の役に立ちたいか?」
答えは、すぐに出なくても、構いません。
なぜなら、「答え」より「問い」を持ち続けることも、とても大切なことだから。
ましてや、中高年からの人生では、すぐに答えを出さなくてもいい。
「私は、どう生きたいのか?」「私は、何を大切にしたいのか?」「私は、誰の役に立ちたいのか?」「私は、どんな働き方なら、幸せなのか?」
それらの問いが、あなたを次の場所へ連れていきます。
ヒーローズ・ジャーニーは、一度で終わるものではありません。
人生には、何度も、「旅立ち」があります。
会社を辞めるとき。定年を迎えるとき。
子どもが独立するとき。大切な人との別れを経験したとき。
新しい仕事を始めるとき。起業するとき。
病気や環境の変化で、生き方を見直すとき。
人生そのものが、何度も「旅」になるのです。
だから、今回の旅が、終わったからといって、もう、旅をしなくていいわけではありません。
むしろ、これからも、新しい旅が、始まるでしょう。
そう、「隠れ内向型」に氣付いたことも、また「旅の途中」なのです。

8.あなたは、もっと自由でいい
あなたの人生です。あなたの時間です。あなたの経験です。
そして、あなたのこれからです。
だから、あなた自身が、選んでいい。
なぜなら、「あなたは、もう十分に頑張ってきた」から。
そして、「これから」は別の頑張り方があっていい。
これまでのように、自分を、社会に合わせる。
会社に合わせる。他人に合わせる。
そんな頑張り方だけが、人生ではありません。
これからは、「自分に合った生き方を作る」という、別の頑張り方があっていいのです。
自分を、大切にする。自分の性質を、理解する。自分の経験を、活かす。自分に合った仕事を、選ぶ。
自分が大切にしたい人を、大切にする。
そして、自分も幸せになりながら、誰かの役に立つ。
誰かのせいにしない。社会のせいにしない。会社のせいにしない。年齢のせいにしない。
「もう遅い」とも、決めつけない。
自分にできることを、自分で考える。
小さくても、一歩を踏み出す。
それが、「自分の人生の主人公として生きる」ということなのですから。

9.「人生の後半」は答え合わせの時間
これまでの人生で、経験してきたこと。
失敗したこと。悩んだこと。遠回りしたこと。
それらを、一つひとつ、拾い上げていく。
そして、「これは、誰かの役に立つかもしれない」と意味を変えていく。
それが、「成幸」への道です。
あなたの人生は、これまで積み上げてきたものが、これから、つながり始める時期なのです。
まずは「あなたの物語」を、あなた自身が書き始めましょう。
主人公は、旅から、戻ってきました。
でも、旅に出る前とは、違います。
「自分には、何もない」と思っていた人が、「自分には、これまで積み上げてきたものがある」と氣付いた。
「自分は、外向型にならなければ」と思っていた人が、「自分は、自分のままでいい」と氣付いた。
「成功とは、人に認められること」と思っていた人が、「成幸とは、自分の人生を、自分のものさしで生きること」と氣付いた。
そして、主人公は「宝」を持って帰ってきた。
その宝とは、お金ではありません。
肩書きでもありません。地位でもありません。
「自分自身への理解」です。
そして、「自分の経験には、価値がある」という確信です。
さらに、「これからの人生は、自分で選んでいい」という自由です。

10.その宝を、誰かに手渡してください
もし、あなたの周りに、昔のあなたと、同じように悩んでいる人がいたら。
ぜひ、伝えてあげてください。
「あなたも、そのままでいいんじゃない?」と。
「あなたの経験にも、価値があるんじゃない?」と。
「まだ、これからできることが、あるんじゃない?」と。
自分だけが、幸せになるのではない。
自分の氣付きを、誰かに渡す。
自分の経験を、誰かの未来につなぐ。
自分が歩いた道を、後から来る人の、小さな灯りにする。
それが、人生の後半の「起業」なのだと思います。
そう、中高年の起業とは、「新しい会社を作ること」ではなく、「これまでの人生を、新しい価値に変えること」なのです。
つまり、「自分らしく、誰かの役に立つ」その道が、あなたにとって、「成幸」への道なら、それでいいのです。
長い間、自分でも氣付かないまま、「外向型の世界」を一生懸命に生きてきた。
でも、もう、氣付いた。自分は、自分でいい。これまでの経験には、価値がある。
これからの人生は、自分で選んでいい。
そして、その人生を通して、誰かの役に立つことができる。
私たち中高年には、これまで積み上げてきたものがある。
だからこそ、「これから」が面白い。
これまでの人生が、「前半」だったとしたら。
これからは、そのすべてを、一つにつなげる、「後半」の物語です。

11.あなたの「ヒーローズ・ジャーニー」は、ここから始まる
この連載では、「隠れ内向型の中高年が、自分の性質に氣付き、これまでの経験を見つめ直し、それを誰かの価値に変え、自分らしい働き方を見つけ、そして、成幸へと向かう」という、一つの物語を、一緒に歩いてきました。
でも、本当の主人公は、この記事の中の架空の人物ではありません。
本当の主人公は、あなたです。
あなたが、これまで歩いてきた道。あなたが、これまで経験してきたこと。あなたが、これまで悩んできたこと。あなたが、これから選ぶ道。
それらすべてが、あなたにしか書けない、一つの物語です。
だから、最後に、この言葉を贈ります。
「あなたの人生の主役は、あなたです。」
誰かと比べなくていい。誰かにならなくていい。
遅くてもいい。小さくてもいい。迷ってもいい。
休んでもいい。やり直してもいい。
ただ、自分の物語を、自分で書いていけばいい
そして、もし、その物語の中に、「起業」という章を、書き加えたいと思ったなら。
その章は、今日から、始めることができます。
「さあ、あなたの人生の後半を、あなた自身の手で書き始めませんか?」
長い旅を、最後まで読んでいただき、本当に、ありがとうございました。
そして・・・・・・、あなたのこれからの旅が、
あなたらしい「成幸」へとつながっていくことを、心から願っています。

