なぜ私たちは「本当の自分」に氣付けないのか?/「隠れ内向型」と「潜在意識」をめぐる旅のはじまり第1回

なぜ、私たちは「本当の自分」に氣付けないのか。
~「隠れ内向型」と「潜在意識」をめぐる旅のはじまり

「自分らしく生きたい」

ここ数年、そんな言葉をよく耳にするようになりました。

自己啓発の本を読んでも、SNSを見ても、
「自分らしく」「好きなことをして生きよう」「本当の自分を大切にしよう」
そんなメッセージがたくさんあります。

でも、ふと思うことがあります。
そもそも、「本当の自分」って、誰なのでしょうね。

そして、私たちは、自分自身のことを、本当に知っているのでしょうか。

私自身、素の自分を知り始めたのは、ここ数年のことです。💦💦

1.「自分のことは自分が一番よく知っている」は本当か?

私たちは、自分についてたくさんのことを知っています。

年齢も、仕事も、家族構成も、これまで何をしてきたのかも知っています。
自分の得意なことも、苦手なことも、それなりにわかっています。

だから、「自分のことくらい、自分が一番よくわかっている」と思うのが普通でしょう。

ところが、人生を長く生きていると、ときどき不思議なことが起こります。たとえば、
「仕事は嫌いではない。でも、なぜか疲れる」
「人付き合いも苦手ではない。でも、一人になるとホッとする」
「今の生活に大きな不満はない。でも、何かが足りない」
「周りからは順調に見られている。でも、自分ではそう思えない」
「やりたいことを聞かれても、すぐには答えられない」
「昔はもっとワクワクしていた気がする」
そんな感覚です。

明確な悩みではありません。
病氣というわけでもありません。
生活が破綻しているわけでもありません。

むしろ、外から見れば「ちゃんとしている」。
仕事もしている。家族もいる。社会的な責任も果たしている。
それなのに、自分の中には、説明しにくい「何か」が残っている。

私は、この「何か」がとても大切なのだと思っています。

2.「違和感」はいつからあったのだろう?

中高年になると、人生を振り返る機会が増えてきます。

「あの頃は大変だったな」「よく頑張ってきたな」「いろいろあったけれど、ここまで来たな」

そんなふうに、これまでの人生を少し離れたところから眺められるようになります。

すると、ふと氣付くことがあります。
「あれ?私はずっと、こうしたかったんだっけ?」

学生時代。就職。結婚。子育て。仕事。昇進。家族。住宅。老後。

人生には、たくさんの「次」がありました。
その一つひとつを、一生懸命こなしてきた。
だからこそ、立ち止まる暇がなかったのでしょう。

「今はこれを頑張る時期だから」「仕方がない」「みんなそうしている」
「自分だけわがままを言うわけにはいかない」
そうやって、一つずつ乗り越えてきた。

そして、氣が付つけば、「自分がどうしたいのか」より、「どうするべきなのか」を考えることのほうが得意になっていた。

そんなことになってはいないでしょうか。💦💦

3.私たちは「感じる前に考えてしまう」

ここで、今回のシリーズの大きなテーマに入っていきます。

私たちの中には、大きく分けて、「考えて判断する自分」と、「なんとなく感じている自分」がいるように思います。

もちろん、人間の心を単純に二つに分けられるわけではありません。
ここでは便宜的に、「自分で考え、判断し、言葉にする意識」を『顕在意識』、
そして、自分でははっきり気づいていなくても、過去の経験や感情、価値観、身体感覚などが影響している領域を『潜在意識』と呼んでみます。

すると、私たちの日常は意外なほど、顕在意識中心で動いていることに氣付きます。

「何をすれば得なのか」「どちらを選べば正しいのか」
「周りからどう見られるのか」「失敗しないためにはどうすればいいのか」
「今の自分の立場なら、どうするべきなのか」

私たちは、とてもよく考えます。考えることは大切です。
経験を積んだ中高年ならなおさらです。

しかし、その一方で、「私は、それをどう感じているのだろう?」
という問いは、案外後回しにしているのではないでしょうか。💦💦

4.「できる」と「向いている」は違う

ここで、私が長く考えてきた「隠れ内向型」というテーマにつながってきます。

隠れ内向型の人は、必ずしも「人付き合いが苦手」ではありません。

人前で話すこともできます。会議にも参加できます。
営業もできます。人脈をつくることもできます。
リーダーになることもできます。

周囲からは、「社交的な人」「コミュニケーション能力が高い人」と思われているかもしれません。

だから本人も、「自分は内向型ではない」と思っていることがあります。

でも、「できること」と「自分に合っていること」は、同じではありません。
さらに言えば、「できること」と「疲れないこと」も違います。

人前で話せる。
でも、その後に一人になりたくなる。
人と会える。
でも、連日続くと消耗する。
仕事を任されれば頑張れる。
でも、本当は自分のペースでじっくり考える時間が欲しい。

こうした小さなズレは、本人にとっても見えにくいものです。

なぜなら、「できてしまう」からです。💦💦

5.「できてしまう自分」が本当の自分を隠してしまう

これは、隠れ内向型だけの話ではないかもしれません。

私たちは長い人生の中で、さまざまな「役割」を身に付けてきました。

会社員としての自分。上司としての自分。部下としての自分。親としての自分。
夫として、妻としての自分。地域社会の一員としての自分。
誰かに頼られる自分。期待に応える自分。

そして、その役割をうまく果たせるようになるほど、「本当の自分」と「役割としての自分」の境界が見えにくくなるのではないでしょうか。

最初は、「本当は嫌だけど、頑張ろう」だったのかもしれません。

それがいつしか、「自分はこういう人間だから」に変わっていく。

そして、「自分はこういう人間だから」が、「こうしなければならない」に変わっていく。

氣が付いたときには、「自分がそうしたいから」なのか、
「そうすることに慣れてしまったから」なのか、
わからなくなってしまっているのです。💦💦

6.だから「隠れ内向型」に氣付くのも遅れる

私は、ここに「隠れ内向型」に氣付くことの難しさがあると思っています。

内向型という言葉を知ったとき、「人付き合いが苦手な人」「人見知りする人」「一人が好きな人」
というイメージを持っていると、「自分には当てはまらない」と考えてしまいます。

ところが、内向性とは、単純に「人付き合いが苦手」ということではありません。

人との交流からエネルギーを得やすいのか。
一人の時間でエネルギーを回復しやすいのか。
刺激の多い環境と、静かに集中できる環境のどちらが自分に合うのか。
物事をじっくり内側で咀嚼する傾向があるのか。

そうした自分の特性に目を向けてみると、「もしかしたら、自分は思っていたほど外向的ではなかったのかもしれない」と氣付く人もいるでしょう。

でも、その氣付きは、20代ではなく、30代でもなく、40代、50代、60代になってから訪れることもある。

なぜでしょうか。
それだけ長い間、「できる自分」を演じてこられたからです。💦💦

7.潜在意識は声を上げてくれない

ここで、もう一つ大切なことがあります。

潜在意識は、「あなたは本当はこうしたい!」と、大声で教えてくれるとは限りません。

むしろ、「なんとなく嫌だ」「なぜかわからないけれど疲れる」
「なぜか、あの場所に行くとホッとする」「この人といると、無理をしている気がする」
「本当は、もう少し静かに暮らしたい」

そんな、小さな感覚として現れることがあるのです。
そして私たちは、それをすぐに顕在意識で処理してしまいます。

「気のせいだ」「疲れているだけ」
「そんなことを言っていたら仕事にならない」
「今さら変えるなんて無理」「贅沢なことを言ってはいけない」

こうして、また元の生活に戻っていきます。💦💦

8.「違和感」を消すのではなく聴いてみる

だから私は、「違和感があるなら、すぐに人生を変えましょう」と言いたいわけではありません。

仕事を辞める必要もありません。
会社を辞める必要もありません。
人間関係を全部変える必要もありません。

ましてや、「自分らしく生きるために、今までの人生を否定しましょう」という話でもありません。

むしろ逆です。
これまでの人生を大切にしてきたからこそ、一度くらい、自分の内側の声にも耳を傾けてみませんか。
という話です。

「なぜ私は、このことに疲れるのだろう?」「なぜ、この人といるときは自然なのだろう?」
「なぜ、一人になるとホッとするのだろう?」「なぜ、この仕事を続けているのだろう?」
「本当は何をしたいのだろう?」

答えを急ぐ必要はありません。

むしろ、すぐに答えを出さないほうがいいのです。💦💦

9.人生の後半だからこそ「自分」に戻ってみる

若い頃は、「何者かになる」ことが大きなテーマだったように思います。

いい学校に入る。いい会社に入る。仕事で認められる。
家庭を築く。社会的な役割を果たす。
それは決して悪いことではありません。

私たちは、そうやって社会の中で生きてきました。

でも、中高年になった今、少しだけ問いを変えてみてもいいのではないでしょうか。

「私は何者になるべきか」ではなく、「私は、どういうときに自分らしくいられるのか」。

「何を達成するか」ではなく、「何をしているとき、自分の中に静かな充実感があるのか」。

「周りからどう評価されるか」ではなく、「自分自身は、その人生をどう感じているのか」。

そう考えてみる。

それだけでも、人生の見え方は少し変わってきます。

10.「本当の自分」はどこかに隠れているのではない

もしかすると、「本当の自分を探さなければ」と思う必要もないのかもしれません。

本当の自分は、どこか遠くに隠れているのではなく、毎日の生活の中で、
「ちょっと嫌だな」「なんだか心地いいな」
「これは疲れるな」「これはもっとやりたいな」
と感じている、小さな感覚の積み重ねの中にいるのではないでしょうか。

だからこそ、人生の後半になった今、私たちに必要なのは、
「新しい自分をつくること」ではなく、
「これまで聞こえなかった自分の声を、もう一度聞いてみること」
なのかもしれないですね。💦💦

そして、その声に耳を澄ませていくと、「ああ、自分はこういう人間だったんだ」
という発見があるかもしれません。

その中に、「もしかしたら、私は隠れ内向型だったのかもしれない」
という氣付きが含まれていることもあるでしょう。

11.次回へ

では、なぜ私たちは、そんな「自分の声」を聴きにくくなってしまったのでしょうか。

なぜ、「こうしたい」よりも、「こうするべき」を優先してしまうのでしょうか。

そして、
「頭ではわかっているのに、なぜか動けない」
「本当は嫌なのに、なぜか続けてしまう」
という現象は、いったい何なのでしょうか。

次回は、もう一歩深く、「顕在意識と潜在意識」について考えてみたいと思います。

私たちは普段、自分で考えて、自分で決めて、自分で行動している。そう思っています。

でも、本当にそうなのでしょうか。
もしかすると私たちの人生は、「自分で決めていると思っている自分」と、「そのずっと前から何かを感じている自分」との共同作業なのかもしれません。

その二つの「自分」の関係を見つめるところから、「隠れ内向型」と「潜在意識」の旅を、もう少し続けてみたいと思います。

中高年お役立ち地位づくりの専門家 松﨑豊

中高年お役立ち地位づくりの専門家 松﨑豊

内向型の中高年起業家専門コンサルタント/しつもんファシリテーター。
「こんなはずじゃなかったのに…」と起業苦戦中の内向型の中高年個人起業家に向けた、ビジネスコンサルティングを提供。
大学卒業後、大手機械メーカーで販売戦略や品質管理に従事。40代でキャリアに挫折し、「人生の目的」を探す中で、自己啓発・心理学・脳科学の世界に傾倒。その後50代で独立するも、「成功法則」を真似ても成果は出ず、「自分らしくない努力」に疲弊。いくつものビジネス講座を受講するもピンとこず、「もう、どうすりゃいいのよ…」といった状態になる。
会社員としても、起業しても、内向型の特徴をうまく活かせず、挫折を繰り返す人生に。
しかし、やがて、「うまくいってる人は、成功法則をパーソナライズして行動をしている」ことに氣づく。そこから、これまでの学びと体験をすべて体系化し、 “自問自考”を軸とした、内向型の特徴を「強み」に転換する「パーソナライズ・メソッド」を構築。現在は、ひとりでも多くの内向型の中高年個人起業家に活躍してほしいという想いを胸に、お役立ちの地位づくり、「オンリーコンサルタント」のポジションづくりに、「1,000日伴走」する『中高年版ヒーローズ・ジャーニー』と銘打ったコンサルティングを展開中。

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